先週、政府がまとめた「働き方改革実行計画」は、長時間労働の是正、同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善など、日本の労働環境に大変革を迫る内容であり、改めて政府の強い意気込みを感じました。
以下、印象に残った部分を抜粋します。
・働き方改革こそが、労働生産性を改善するための最良の手段である。
・世の中から「非正規」という言葉を一掃していく。そして、長時間労働を自慢するかのような風潮が蔓延・常識 化している現状を変えていく。さらに、単線型の日本のキャリアパスを変えていく。
・事業者は、有期雇用労働者についても、雇入れ時に、労働者に適用される待遇の内容等の本人に対す る説明義務を課す。
雇入れ後に、事業者は、パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者の求めに応じ、比較対象 となる労働者との待遇差の理由等についての説明義務を課す。
・我が国の場合、基本給をはじめ、賃金制度の決まり方が様々な要素が組み 合わされている場合も多いため、同一労働同一賃金の実現に向けて、まずは、 各企業において、職務や能力等の明確化とその職務や能力等と賃金等の待遇 との関係を含めた処遇体系全体を労使の話し合いによって、それぞれ確認し、 非正規雇用労働者を含む労使で共有することが肝要である。
・基本給や各種手当といった賃金に差がある場合において、その要因 として賃金の決定基準・ルールの違いがあるときは、「無期雇用フルタイム 労働者と有期雇用労働者又はパートタイム労働者は将来の役割期待が異なるため、賃金の決定基準・ルールが異なる」という主観的・抽象的説明に終 始しがちであるが、これでは足りず、職務内容、職務内容・配置の変更範囲、 その他の事情の客観的・具体的な実態に照らして、不合理なものであっては ならない。
・「自分の若いころは、安月給で無定量・無際 限に働いたものだ。」と考える方も多数いるかもしれないが、かつての「モ ーレツ社員」という考え方自体が否定される日本にしていく。
・自動車の運転業務については、現行制度では限度基準告示の適用除外とさ れている。その特殊性を踏まえ、拘束時間の上限を定めた「自動車運転者の 労働時間等の改善のための基準」で自動車運送事業者への監督を行っている が、限度基準告示の適用対象となっている他業種と比べて長時間労働が認め られている。これに対し、今回は、罰則付きの時間外労働規制の適用除外と せず、改正法の一般則の施行期日の5年後に、年 960 時間(=月平均 80 時 間)以内の規制を適用することとし、かつ、将来的には一般則の適用を目指 す旨の規定を設けることとする。5年後の施行に向けて、荷主を含めた関係 者で構成する協議会で労働時間の短縮策を検討するなど、長時間労働を是正 するための環境整備を強力に推進する。
・建設事業については、限度基準告示の適用除外とされている。これに対し、 今回は、罰則付きの時間外労働規制の適用除外とせず、改正法の一般則の施 行期日の5年後に、罰則付き上限規制の一般則を適用する(ただし、復旧・ 復興の場合については、単月で 100 時間未満、2か月ないし6か月の平均で 80 時間以内の条件は適用しない)。併せて、将来的には一般則の適用を目指 す旨の規定を設けることとする。5年後の施行に向けて、発注者の理解と協 力も得ながら、労働時間の段階的な短縮に向けた取組を強力に推進する。
・配偶者控除等については、配偶者の収入制限を 103 万円から 150 万円に引き 上げる。
・国家公務員の配偶者に係る扶養手当の見直し(配偶者に係る手当額を他の扶養親族に係る手当額と同額まで減額。それにより生じる原資を用いて子に係る手当額を引上げ。)について、着実に実施する。
・2018年4月から労働契約法による無期転換 ルールが本格的に始まるが、制度趣旨が各企 業に浸透していない。
4割の企業が無期転換ルールの内容を知らないと回答。
ルールを知っている企業でも、2割以上の企業が「対応 方針未定」、6%が「通算5年を超えないよう運用」と回答。